第1回「能海寛・ふるさと100kmトレイル遠足」江本流完走記 其の1

すっかりご無沙汰してしまいました。
 10月23日、「能海寛・ふるさと100kmトレイル遠足」を、なんとか制限時間ぎりぎりで完走した後、ほかの用件に追われて、あっという間に師走もなかばとなっていました。
 でも、約束通り、「学習ノート」は今後も年を越えて続けます。
 100年前のミステリーじみた歴史に多少なりとも関心をお持ちの方、これも縁だ、と思ってどうかおつきあいください。

 当面、2004年能海寛・ふるさと100kmトレイル遠足のことを私なりに書いてみます。来年以降参加してみよう、と思う方々、是非のろのろランナーの能海寛100キロを参考にしてください。

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  第1回「能海寛・ふるさと100kmトレイル遠足」江本流完走記 其の1
 
2004年10月22日、朝の便で広島空港に着いた。
チベット探検家、能海寛をテーマにした100キロマラソンの第1回大会が10月23日、いよいよ金城のときわ会館をスタート地点として島根・広島県にまたがる中国山地で開かれるのだ。
「2004年能海寛・ふるさと100kmトレイル遠足(とおあし)」という。不思議だ。
能海寛(のうみ・ゆたか)の足跡を追って、島根の故郷には何度も来ているのに、ついに100キロ走ることになるとは。
 空港で海宝ロードランニングのスタッフ、城定睦さんとばったり出会う。レンタカーを借りるので一緒に行きませんか、と誘ってくれたのでお願いする。何人かのランナーとともに乗り込んだ。
 高速道路を途中の広島県戸河内インターで降りる。少し行くと「とごうち道の駅」に出る。明日の行程のちょうど中間地点、昼食休憩の場所ともなるところだ。
 この後は、結局ほぼ明日のコースをたどるようにして進んだ。昨年2003年10月の試走会で通っているので私には懐かしい風景だが、60キロあたりからの長い登りは、やはりきつそうだ。
 実は、10月8、9日に行なわれた奥多摩一周山岳耐久レースに、出走した。雨でぬかるみと化した山道が怖くて42?地点でリタイアしたが、雨中で悪戦苦闘したその疲れが残っている上、ここ3日、油断して風邪をひいてしまった。こりゃ、まずいぞ。体調悪くて・・などと言えた義理ではない。175人のベテラン・ランナーがエントリーしたこの大会になんと不肖私は「ゼッケン1」をもらい、招待選手として参加することになっているのだ。 そんなわけで、一刻も早く発汗して風邪を治してしまおう、と、東京を出る時から厚着をしている。まあ、登山と同じく、風邪をひきかけた時は、きついことをやって早々にウィ
ルスを追い出してしまうのが一番なんだが。
 やがて、車は県境を越え、懐かしき金城町に入った。
 
 金城にはもう10数回来ている。その都度、朝のジョギングは欠かさないが、まさか100キロ走ることになるとは、思いもしなかった。
 これもあれも、波佐文化協会が制作したマンガがきっかけなのだ。
 能海寛の寺、浄蓮寺のある地区を波佐(はざ)という。波佐文化協会は、この地区の文化、伝統を顕彰し、後世に伝えようと、能海寛研究会の事務局長でもある隅田正三さんが中心となって発足した。能海寛研究会の発足(1995年)の20年も前から隅田さんたちは、故郷の1世紀前のチベット探検家について資料を発掘し、その業績を明らかにしていった。
 見る人は見ているもので、今から4年前、歴史に埋もれていた能海寛を、時間をかけて世に出した波佐文化協会の地道な仕事に対して「平成12年度サントリー地域文化賞」が贈られた。
 『まんが 西蔵探検家 能海寛』は、この文化賞の賞金をもとに、郷里の英傑を子どもたちにもわかりやすく伝えたい、と波佐文化協会が企画したものだ。原作・シナリオを私が書き、まんがを広島県在住の南一平さんが担当した。そして、ある日、そのマンガ本を手にした海宝さんと友人の津川義己さんが、「この人のチベットへの熱い心をテーマに100キロをやろう!」と、思いついた、というわけである。
 私にとってはすでにふるい友人でもある隅田さん、海宝さん、津川さんたちが不思議な縁から見事につながって、新しい大会を創りあげたとも言える。全国各地にある長距離走大会でも他にない、ユニークな大会なのである。
 
 前夜祭の会場ともなる「ときわ会館」に着くと、海宝さんはスタッフたちと忙しそうに準備に追われていた。そして楽屋では波佐のおばさんたちがてきぱきと料理つくりを進めていて、何やら、おいしそうな匂いが充満している。
 すでにランナーたちは続々到着していて、受け付けを済ませて広間に展示された試走会の写真パネルなどを見ている。
 広間にずらりご馳走が並べられ、ビールが運び込まれ、午後5時、前夜祭の開始。これは、なんと豪華な!メモし忘れたが、出された食事の説明でこの地域の文化がわかるので、あとで正確なメニューを伝えます。ともかく何日か前から準備に入ったという大勢の婦人たちのおかげで、波佐の食文化を味わったのだった。
 海宝さん、地元教育委員会からの挨拶のほか、最年少出走の男女も紹介された。私ももごもご、能海寛をテーマに100キロ走ることの驚きについてしゃべる。
 この夜は、川根荘という民宿で泊まった。大部屋でベテランたちの話を楽しく聞く。

  実は、心配されたのが台風の被害だった。案の定、23号による土砂崩れで前日まで予定コースに走れない箇所が出来たが、この日までに復旧し、無事スタートできることとなった。
 さあ、いよいよだ。(この項つづく)

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EMOTO Yoshinobu 江本嘉伸
著者:江本 嘉伸(えもと よしのぶ)さんのご紹介


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