しろうと集団の「お台場ぐるぐる」報告/江本嘉伸(地平線会議代表世話人)


2007年03月28日[ 大会参加・感想記]

 会場の「船の科学館」に着いたのは3月3日午後6時をまわっていた。おお、走ってる、皆、ぐるぐる回っている。エイドのテントには人だかり。もういろいろおいしそうなものが出ている。そして、テントの前での、一周したランナーが輪ゴムを受け取るおなじみの風景。5度目の参加なのでなじみの顔が大勢いる中でことしはランニングとは無縁の新顔が目立ったのが楽しかった。以下は、海宝道義さん主催の恒例の「2007年24時間チャリティラン・ウォーク」の独断的報告。
 
 

リレー・チームのしんがりをまかされているので、7時には番が回ってくる。
素早く身支度して、意外な速さで健闘している「さちこ」さんからタスキを受け取った。暗くなった1.5キロの周回コースをゆっくり走り始める。
 「こんにちは?」「やあ、来ましたね!」と知った顔に挨拶しながら、ランナーたちは例年とは違う顔ぶれが多いのに気づいたかもしれない。常連の中に、新顔がまじるのがこういう大会の良さではないか、と思う。
 私の仲間がつくった三つのリレーチームもそのひとつだ。チーム名は自称「みけねこ」「やまねこ」「のらねこ」。
 
 「地平線会議」という冒険的な旅を愛する人たちのネットワークがある。1979年9月以来毎月ユニークな旅人の報告会(記念すべき第1回報告者は海宝さんの大会でお馴染みの三輪主彦氏、「アナトリア高原から」というタイトルだった)を続けていて、全国に仲間がいる。大阪在住の中島ねこさんもその一人。福祉関係の仕事をしながら屋久島にひかれ通い続けるねこさんは、ホームページをつくって毎週、詩と写真を発信している。

 最近それをまとめた写真詩集(『きみの胸に火 灯しに行くよ』)を発刊、それを祝ってホームページの掲示板仲間が各地から集まった。1年少し前のことだ。
その時は軽いハイキングぐらいだったが、1年前のお台場24時間の後、メールを通じてそれとなく持ちかけてみた。「皆さんも来年チームをつくってやってみない?歩くだけでいいのだから」
 
 普段はランニングとは無縁だが野外での活動には関心がある人たちだ。以後、掲示板でいろいろな情報が飛び交い、少しずつ手が上がった。自由に情報交換できるように参加希望者の間で「メーリング・リスト」(登録された特定のメンバーのみが読めるメール・システム。情報交換の場として最近よく利用されている)をつくり、トレーニングのやり方、当日のいでたちなど必要な情報が飛び交った。
スクーター通勤を徒歩に切り替えたり、駅をひとつ前で降りて歩いたり、休日ゆっくり走ってみたり、それなりの鍛錬が始まった。

 そして、2月9日の参加締め切りの直前には全国各地から13名が参加を表明したのだった。山形県から2人、東京都内から3人、愛知県から2人、大阪府から4人、滋賀県から1人、愛媛県から1人。海宝さんの企画でこれだけのしろうとが動いたのだ。なんだか大したことなのではないか、と私は思った。
 
 ついに迎えた本番の日。早朝から夜行バスや飛行機で東京に着いたメンバーはまっすぐ会場に急行、休憩用のホールに打ち合わせ通り素早く13名の場所を確保した。都内の一番近くに住むというのに、原稿書きと犬の散歩など私事に追われた私は、ぬけぬけと夕方になって到着し、やあやあ、と挨拶したわけである。うち2名とはまったくの初対面だったが、すでにメールのやりとりでお馴染みだったのですぐ仲間になれた。

 皆、はじめたら、実に楽しい、と気づいたようだった。表情が活き活きしている。1時間ごとにタスキをつなぎながら合間にエイドで食べ物を味わっている。
海宝さんの料理の腕はこの仲間うちでよく知られているのでこれが大きな楽しみなのでもあった。
 歩きに徹しているメンバーもいれば、走り続けている者もいる。そのエネルギーには呼びかけた私も驚いた。きっかけがあれば人は動き出すものである。
 
 夜が更けても案外明るい。まん丸のお月様のおかげだ。黙々とタスキをつなぎながら昼とは違う海辺の歩き走りを皆楽しんだようだった。そう、翌日の大荒れの空模様を考えるとお天気が良かったことはやはり大きかった。
 やがて朝を迎えて芝生にたむろする人たちがふえた。

 「犬がいましたよ、2匹、もしかして・・」とひとりが教えてくれた。もしや、と私も思った。芝生のほうに行くと、いましたよ、あの柴犬の夏海(なつみ)と海(かい)が。 昨年の宮古島100キロで息子の走君と2匹の犬をバギー車に乗せて走っているI津さんご夫妻のことをねこさんの仲間たちに伝えたことがある。
一家は見事完走したのだ。あの時ご本人の承諾を得てその「壮挙」を写真入りでねこさんのHPで紹介したのだ。その後ご一家は東京から福岡に移ったと聞いていた。
 その一家がまたやって来たのだ。ねこチームの仲間たちもすでに知っているわんこの登場に沸いていた。ほんと、ここで再会できて良かった。

 24時間があっという間に終わり、仲間たちから感想が飛び交った。以下はねこさんがまとめてくれたみんなの一言集。地平線通信にも載せたものだ。名前はハンドルネームのままとした。(私は「くるみまる」)

◆同じところぐるぐるなのに、ちっとも飽きることがなかった。その場の走る雰囲気に包まれてしまい、しょっぱな飛ばしすぎて一巡目でいきなり足を痛めてしまったのは失敗だったが、なんとか最後まで持ったし。体力不足を心配し、走れないと言っていた人たちが、後半どんどん走り出して、見ていて感動的でした。
海宝さんのあふれんばかりのホスピタリティにも感動。毎年参加する方の気持ちがわかりました。(山形県・あかねずみ)

◆同じ景色でも、時間によって風景が変わってくる楽しさがありました。その場所にたたずむ人たちも時間によって全く違う。そんな風景を見ながら、自分なりの進み方で、1周ごとのラップを計ったりしながら、自分との競争も楽しみました。こんなチャンスを与えてくれて、またこんなにたくさんの仲間と参加できて楽しかった。(東京都・nabe)

◆今日は筋肉痛のため自転車。でもなんだか景色のスピードが早すぎてつまんないので、明日から歩きに戻る予定。ちょっとでも歩いた方が、反対に足も楽なこと判ったし。そんな1日を過ごし、あの2日間が夢のように思えてきてます。歩くだけ…って決めてたけど、途中走ってみたり、止まってみたり(^^;;。最終、すり足競歩なんてのでタイムを見つつ、楽しくグルグルしてました。ねこ手のみんなが一緒にゴールしてくれて、実はわたしもウルウル来てたのでした…。こんな素敵な機会を与えてくれた皆さんに感謝です!(大阪府・さちこ)

◆個人的にツボだったのは、主催者・海宝さんが自らホットプレートで焼いて作ってくれたポーポー(ちんびんとも言います)。黒糖味のクレープのような薄焼きをくるくるまるめたもので、沖縄の昔ながらのおやつです。たんたんと走るランナーにも刺激を受けたし、みんなでわいわい楽しめたし、おいしいものをいっぱい食べたし、いやはや不思議で魅力的な時間でした。(東京都・kaco)

◆“歩く”に徹しましたが、いやもうホント楽しかったです。何を食べても飲んでも美味しくて、寝る間も惜しんでエイド周辺を陣取っていたような気がします。
何ひとつとっても海宝さんのココロを感じ気持ちのパワーをもいただいていました。それにしても、あんなにアツクなるなんて…聞くと見るとじゃ大違い!かなりな刺激を受けました。チームみんなで一緒にゴールしたあの瞬間をきっとずっと忘れないと思う。あー楽しかった!(大阪府・luna)

◆ほんとに楽しかった!始まる前は歩けるかと心配だったのに、自分が思ったより歩け、走れてビックリしました。もう歩けないと思った時も、皆さんの応援でまた一歩踏み出せました。気持ちよく頑張れました。エイドは本当に素晴らしかったです。作ってくださった人にも感謝。参加できて良かったです。(大阪府・もも)

◆16時、20時、0時、4時、8時、12時が私の出番でしたが、深夜4時の回が一番体が軽くて良い調子だった。次回の目標は同じ条件なら30周以上でしょう、とか思っている。そして、野宿野郎さん達が可笑しかった。「24時間飲み放題食べ放題ですから」が誘い文句とはナイス(笑)。チーム全員でのゴールは大勢の前…気恥ずかしさいっぱい。ところが、その直後うるるっとなった自分にびっくりした。
感動。チーム参加だったからこその喜び。エイドのボランティアもやってみたいかも、と思った。よね、Sさん。行ってよかった!ありがとうございました。(愛知県・てら)

◆走っては食べ、歩いては食べ(笑)そして寝て。そこにまた笑いとおしゃべりが加味されて。いやあ、これは人間の本質的な生活かもしれないなどと思ったりして。ほんとうにみなさま、お世話になりました。またお会いできる日が楽しみです。(愛知県・mito)

◆ぐるぐるしながら、ぼーっとしたり、いろいろ物思いにふけったり、人間観察したり。 普段、単独行動好きだけれど、一人じゃ味わえないもの、共有できる人がいるから得られるもの、楽しめることがあることを、とても実感した2日間でした。(愛媛県・みかん)

◆予定どおり最後まで“歩き”通しましたが、皆さんが次々と走りだしたのを見ているのは心地よかったです。本当にみんないい走り(歩き)でした。私の場合、体重を落とさないと走ることができないので、来年までに5キロくらいは減らしたいと(今は)思います。皆さん、2日間楽しませてくれてありがとう。(山形県・イシ)

◆自分でもビックリするぐらい歩けて、リレーというものの偉大さを感じました。
お天気もよくて最高でしたね(私達のおかげ??)。この2日間は筋肉痛との戦いでした。そして2キロオーバーの見たことない体重に。明日からまたお昼散歩を再開しないと。”Please pat your back!!”(自分で自分を偉かったね…と思う)母からの言葉です。 皆様にも。(滋賀県・aya)

◆チャリティーという趣旨があるとはいえ、遠路交通費使ってやって来た上に、参加費も払ってしんどいことするという、酔狂と言えなくもない行動をみんなでまじめにやってしまったことに、かなり嬉しさを感じた。なぜだろう。きのう、アドバイザーくるみまる氏が、掲示板にこう書いてくれていた。「それは多分、無意味なことへの挑戦の面白さを含む『初心』ということだと思う。初めてやることの面白さ。大げさな言い方をすれば、おののきを伴った挑戦。本来ひとはそういうことを沢山体験しながら育つのでしょうが、大人になるにつれ、そういうこととは滅多に出くわしません」。次なる企てが楽しみなのである。(大阪府・ねこ)

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EMOTO Yoshinobu
筆者:江本 嘉伸(えもと よしのぶ)氏のご紹介


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