〜〜〜宮古島を走って〜〜〜 加村雅柄
いつかは走ってみたいと思っていた宮古島遠足、遠いのと他のレースとの関係でなかなか実現しませんでしたが、一度100kを走ってみたいという走友たちの言葉に、それなら気候温暖で景色も楽しめそうな宮古島を走ろうと意気投合、一緒にトレーニングを始めたのが去年の春のこと。
毎日曜日、ゆっくり、長く走るトレーニングを重ねて大会に臨みました。
真冬の東京から空路3時間、降り立った宮古島の、半袖が心地良い気候に気持が弾みます。
空港で沖合の下地島に赴任している走友と合流し、早速コースの下見を兼ねて、ドライブに連れて行ってもらいました。
空港から出ると、サトウキビ畑が延々と続く沖縄ならではの風景が続き、やがて目の前いっぱいに海が見えてきました。
海岸線の景色は雄大で、海の青と陸の緑のコントラストが美しく、明日は一日中この景色の中を走れる、でも景色を見ている余裕あるかな…?
自然多く残る南の島の風景に感動しながら、長い一日への期待とちょっぴりの緊張感が胸に広がりました。
翌朝5時、スタートとともに大きな歓声が上がり、それぞれの一日が始まりました。
漆黒のような暗い道をライトの灯りを頼りに走ります。何も見えないけれど、暑くもなく、寒くもなく、真冬なのに風が心地良いこと。ふと、甘い香りがすると思ったら、製糖工場の大きな煙突がぼんやり浮かびあがるように見えました。
ネオンも無く静かに眠っている平良の町を通過し、2時間ほどするとようやく明るくなりました。晴れの良いお天気、池間島に向かう池間大橋から、キラキラ輝く海の向こうにスタート地点の前浜ビーチあたりが見えました。とっても遠くに見えたのに、まだ走った距離は30kほどです。
中間点のエードでは、楽しみにしていたサトウキビのジュースを初めて飲みました。
くすんだ緑色の絞り汁は、甘くて、笹のようなちょっと青臭い香りがして、初めて経験する複雑な味がしました。いかにもミネラルやビタミンがたっぷりという感じで、とてもおいしかったので、もう一杯いただきました。食事をしたり、シューズを履き替えたり、一休みして再スタートしたころには、小雨が降り出していました。
午前中のまぶしい空はすっかり雲に覆われて、すごい速さで流れていきます。
そのうち小雨が止んだかと思ったら、突然のスコール!全身ずぶ濡れになったけど、全然寒くないし、むしろほてったからだに気持ち良くて、適度に冷やしてくれました。
スコールはすぐに止んで再び晴れてくると、断崖絶壁の海岸線の遠くに東平安名崎が。宮古島の写真でよく見る風景が広がっていました。
変化の無い道は木陰がなくて暑く、東平安名崎は見えるのにとても遠かったけれど、やっと着いた灯台への入口では子どもたちの熱い声援をもらい、灯台への往復では、ランナー同士励まし合うことが出来ました。70kくらいの精神的に辛いところで、また元気をもらいました。
宮古島のコースは全体的に小刻みなアップダウンの続くコースですが、東平安名崎から先は特に大きな坂がいくつも続きました。
その後シギラベイリゾート、ドイツ村と通過するころにはまた雲行きが怪しくなり…来間大橋では、雨なのか海水が吹き上がってくるのか、強烈な横殴りの雨と風(ウルトラ歴15年の中でも3本指に入るほど!)に見舞われ、走るのに苦労しました。横風に飛ばされそうになりながらも来間島から戻り、一路ゴールへ。
景色も、フレンドリーなエードも良かったし、めまぐるしく変化するお天気も、ゴールすれば楽しい思い出です。初チャレンジの走友を含め、仲間全員が無事完走できて、夜はホテルの部屋で祝杯に酔いながら、思い出話で盛り上がりました。この日のために、何ヶ月も一緒にトレーニングしてきただけに、全員の完走に喜びもひとしおでした。
15時間かかった友達は、暗い中一人ぼっちになるのが不安だったけど、ずっとランナーが途切れなかったので、寂しくなかったとのこと、また、16時間の制限時間のおかげでゴールできてよかったとの感想でした。
翌日は伊良部島、下地島を観光に行きました。フェリーが沖合に進んで宮古島全島を見渡せるところまで来た時、あそこを全部走ったのかと感慨を新たにしました。伊良部島、下地島は宮古島とはまた異なる趣の島で、見所もたくさんあり、ぜひ足をのばして観光されることをお勧めします。
また宿泊していた東急リゾートのある前浜ビーチは、真っ白な砂浜と透明なコバルトブルーの海が広がる、島一番の美しいビーチといわれているところでした。思わず飛び込みたくなるようなきれいな海でしたが、泳ぐにはちょっと寒いのが残念でした。
ひとつ意外だったのは、宮古島で蚊などの虫を一度も見なかったことです。珊瑚礁の島なので、雨水はすぐ浸透してしまうからではないか、とのことです。宮古島には川がないとも聞きました。
宮古島遠足から数ヶ月たった今でも、一緒に走った仲間とは思い出話に花が咲きます。今でも、100kも走れたなんて信じられないとも。
日本は大きい国ではないのに、その地方ごとにさまざまな風景があることを改めて感じましたが、ゆっくり走って観光できるのも、ウルトラマラソンの魅力のひとつでしょう。
これからもぜひたくさんの方々に、宮古島のすばらしさを体験していただけたらと思います。 (2007年6月記)
★加村さんは、5月中旬、フランス・スジェールで開催された48時間走に参加して来たとのことです。(大会事務局)